皆さんこんにちは。名駅店 店長の稲垣です。
今回はレコードのフォーマットの一つ「12インチ・シングル盤」についてお話しようかと思います。
みなさんご存知の通り、レコードには大きいレコード(直径約30cm)=LP盤と、小さいレコード(直径約17cm)=7"盤がありますね。
左がLP盤で、右が7"盤です。
"Long Play"を略した「LP盤」は、その名の通り長くプレイできるレコードという事です。
サイズは12インチ(直径約30cm)、回転数は33回転が一般的です。
"LP=アルバム"という認識でOKで、片面にだいたい5~6曲ほど収録されています。
このレコードには片面に7曲が収録されています。
※10"盤ってのもありますが、このサイズはSP盤(蓄音機の時代のレコード)時代の流れを汲むフォーマットなので、今回は割愛
「7"盤」はいわゆるシングル用レコード。
45回転で、中心の穴が大きく"ドーナツ盤"の愛称でもオナジミですね。日本では"EP盤"って呼ばれたりもします。
基本的には片面1曲ずつ、計2曲が収録されています。
センターホールが大きいのは、元々ジュークボックスでの仕様を想定していたためです。
今回ご紹介する「12インチ・シングル盤」は、LPと同じサイズのレコードを使用したシングル盤です。
要するに"でっかいシングル盤"ってわけですね。
手前が12インチ・シングルです。LPと同じスペースに長ーい1曲が刻まれています。
あれ?シングルって1~2曲入ってるだけだよね?
12"のシングルって何よ?わざわざ大きなサイズで作らなくてもよくない?
いいですねえ。そう、やっと本題です。
LPのサイズでシングル盤が作られたのには、当然理由があります。
?長い曲が収録できる
世の中には様々な楽曲がありますからね。短い曲もあれば、7"盤の枠には収まりきらない長い曲もあります。
レコードは物理的に溝を彫る必要がありますので、曲が長ければ彫る溝も長くなるというわけです。
?様々ヴァージョンが収録できる
本来アルバム用のサイズなので、何曲も収録できる分量があります。
"○○リミックス"とか、"インストゥルメンタルVer."とか、表題曲の別ヴァージョンなんかが収録されたりします。
ヴァージョンが多すぎて、これほぼLPじゃん!みたいなことも・・・
?音がいい
レコードは限られたスペースに溝を彫っていくので、たくさん彫ろうとすると一つ一つの溝が細く浅くなってしまうんですね。
溝が細く浅くなってしまうと、それに伴って音質と音量が下がってしまいます。
12"シングルは、アルバム用のスペースに1曲を彫るわけですから、当然LPよりも溝が深く刻むことができるのです。その結果、音質と音量が良くなるというからくりです。
12インチ・シングルのメリットはだいたいこんな感じでしょうか。
アルバムとは別のヴァージョンが収められていることを示す、"EXTENDED VERSION"や"12" DISCO VERSION"の表記
アルバムでは3分40秒のPrinceの楽曲"America"は、12インチ・シングルではなんと21分46秒にまで引き伸ばされています。もはや別の曲のようですね。
中には広いスペースの無駄使いとも言えるこんな12"も・・・? これならもう一曲追加してほしいですよね
音質が良く音量が大きい点から、12インチ・シングルはディスコやクラブでプレイする多くのDJに愛されました。
ディスコが盛んだった70年代後半から80年代は特に多くの12"シングルが作られ、中には現在かなりのプレミア価格で取引されている盤もあります。
ちなみに人気が高まったりプレミア化する12"シングルの、その主な要因をいくつかご紹介すると、
●LP未収録の曲である
LPに収録されていないわけですから、その曲を聴くにはシングル盤を手に入れるしかないという事です
●プロモ盤のみで正規盤のリリースがない
(プロモ盤についてはまた今度お話します)
プロモ盤は正規盤に比べて数が少ないので (正規盤があっても、プロモにしか収録されていない音源があることも)
●12"限定の特別ヴァージョンが収録されている
有名DJによるリミックスVer.や、広いスペースを利用しロング・ヴァージョンで収録されている楽曲も多くあります
中には原曲の数倍に引き伸ばされることも・・・
●めっちゃカッコイイのに、リリース当時全然売れなくて現存数が少ない
これは12インチ・シングルに限らずですね
こんな感じでしょうか。もちろんもっと他の要因で人気&高値になっている物もあります。
12"シングルの発明家Tom Moultonによる"A TOM MOULTON MIX"
NYの伝説のクラブ「パラダイス・ガラージ」でプレイした、DJの神様Larry Levanによる"A Larry Levan Re-Mix"
ディスコ衰退後も、音圧の高さや収録ヴァージョンの多さから、ヒップホップやハウスのシーンで多くの12"シングルが生産されました。
デジタルでプレイするDJが主流となる2000年代中期までは、DJといえば12"だったのです。
DJ用を意味するプロモ盤の表記「D.J. COPY NOT FOR SALE」
ちなみにバナナレコードでは、12インチ・シングルはプライスカードのココに表記してありますよ↓↓
今回名駅店では、前述のディスコ期に生み出された12インチ・シングルを集めた「DISCO/BOOGIE 12"特集」を開催します。
NYのパラダイス・ガラージでLarry Levanによってプレイされたディスコの名曲や、
ディスコ・ミックスの元祖にして12インチ・シングルの発明家Tom Moultonによる"A TOM MOULTON MIX"、
12"にのみ収録されるロング・ヴァージョンなどなど!
12"シングル特有の太い溝に刻まれた迫力の音圧を、ぜひ体験してみてください!
出品リストはコチラより
バナナレコード名駅店 稲垣
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