皆さんこんにちは。名駅店 店長の稲垣です。
これから月に1-2回ほど、音楽、レコード、CDにまつわるコラムを書かせていただくこととなりました。
随所に何の役にも立たない情報を織り交ぜつつ、あれやこれやと発信できたらなと思っております。どうかお付き合いくださいませ。
さて、記念すべき第1回ということで、何を書こうかとても悩みました。
自分の音楽のルーツ?最も好きな音楽?と書きたいことは色々ありましたが、まずはシンプルに「最近買ったお気に入りのレコード」です。
ちょっとシンプルすぎるか・・・
いいんです。新しいことを始めるのに岩のように腰が重い僕には、初めの一歩はこれくらい軽やかな方がいいんです。
1986年にイギリスのBite Backというレーベルからリリースされた、FAXさんによる「FAX」というアルバムです。
なんやねん、誰やねん、ですね・・・
何はともあれ、まずはとても現代的でイカしたジャケット・アートワークを見てください。
とてもデザインされたFAXのフォント、さらに注目は裏面の曲目です。
めちゃくちゃかわいい!全部シールにしたい!と、思わず皆さんも思ってしまうのでは?缶バッジもアリですね~
実はこれ全てFAXさん本人によるデザインらしいです。
さて、そろそろFAXさんに触れるべきですね。
中央でロッド・スチュワート(嘘)とキスしている、セーラーハット?の男性こそが、FAXことDavid O'Listさんです。
David O'Listという名前、聞き覚えのある方は相当なロック通ですね。
David O'Listさんは、英国のロック・バンドRoxy Musicの最初期ギタリストで、キース・エマーソンで知られるThe Niceなどにも在籍しました。
ロキシーに彼が在籍したのは極初期の極短期間で、1stアルバム「Roxy Music」リリース時にはPhil Manzaneraと入れ替わってしまっています。
FAXは彼と彼の妻Satu RedmondによるDIYプロジェクトで、作品はこのアルバム1枚のみです。(テストプレスの"Seal It With A Kiss"が存在するようですが)
アートワーク、ソングライティング、おそらくレーベルも全て自主で行われており、本当にセンス良しなDIYっぷりです。
肝心のサウンドですが、打ち込み+シンセ多用のダンストラックが満載で、ニューウェイヴとハウスの中間のような佇まいです。
Yazoo辺りと、Arthur RussellのSleeping Bag Recordsが合わさったような雰囲気でしょうか。
私もDJでプレイする時にはSleeping Bagの諸作とセットがお決まりです。
全7曲収録のアルバムですが、実態はEP的なサイズ感で、A-2に"FAX"、B-2にその"FAX"のRemix、ラストに収録の"Animal Life""FAX"のインストVer.的内容と、7曲中3曲"FAX"なのです。
僕さっきからFAX、FAXうるさいですね・・・
なぜ彼はFAXという名を選んだのでしょう?
気になってFAXついて色々と調べちゃいました。
このレコードがリリースされた1986年頃は、ちょうどFAXの一般普及と被っており、「最新のマシン=FAX」という意味で名付けたんじゃないかな?なんて想像してみたり。
今なら何でしょう?EVとかAIとかですかね?
ちなみにファクシミリの技術自体は100年以上の歴史があるようです。
DIYで正体不明感漂うこの一枚、当然まずまずレアな一枚なのですが、数年前にデッドストックが出回ったようで以前よりも入手しやすくなりました。
ぜひレコード屋さんで見かけたら手にとってみてくださいね!
バナナレコード名駅店 稲垣
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キーワード: British Rock, Electro, House, New Wave