呂布カルマ「SUPERSALT」発売にあやかって、昨年出た傑作、MAKER「さそり座ストリップ」の発売時に、大須店新品バイヤーと呂布カルマ/MAKERで行ったインタビューを公開します。
諸事情でお蔵入りとなっていましたが、呂布カルマ氏が「MAKERの良さは、まだまだ全然みんなに届いていない。もっと広く聴かれて欲しい。」とのことで、最新作5thにも参加させたMAKER氏のインタビューをこのタイミングで載せようということになりました。
---MAKER 「さそり座ストリップ」リリース・インタビュー---
- 2017年3月に、とあるサンプルCDをいただいた。1stアルバムも良かったラッパーさんだったので「楽しみだなー」と何気なく聴いていたところ、1曲目から「アレ?これ凄くないか?」と違和感に近い、変な直感が走りました。2曲目はなぜか「イントロ」。そこで3曲目からは歌詞カードを読みながら聴いてみることにしました。
「歌詞カードのリリックが輝いて見えた」
比喩ではなく本当に目がくらんだ。こんなことは年に数回あるかないかです。
すぐに、とんでもない作品が生まれてしまった衝撃を実感し、その誕生をリリース前に体験できた高揚感が全身を包みました。
その作品とは「さそり座ストリップ」。
郡上のラッパー、MAKERの2ndフルアルバムです。
ほぼ同時期に呂布カルマもツイートしました。
「MAKER/さそり座ストリップ お前の知らないやばいやつ。」とジャケット写真付きで紹介。
その後そのツイートを自ら引用し、「今年の1番きたわ。ぶっちぎりで。」と改めて絶賛。
同じ岐阜県の裂固(高校生ラップ選手権で優勝し若者に絶大な人気があるラッパー)も
「makerさんのさそり座ストリップもう100回は聞いた。この人1人で日本語ラップの可能性10パーセントぐらい上げたんじゃないかって程の作品 絶対買った方がいい」
「この人知らずに日本一のラッパーは誰かなんて話はできんと思う 聞いてみて 言い過ぎてないから 岐阜の誇り」と最大限の賛辞を送っています。
リリース後は、数少ない「発見者」たちから、驚きの声が少なからずSNSに上がってきました。
しかし本人は「買ってくださいまし」の告知と他人の感想をリツイートするだけで、全貌は見えてこない。
その後「さそり座ストリップ」を何回も何回も聴いた。
適当に聴いたり、リリックとにらめっこしながら集中して聴いたり、あえて「本当にそんなイイか?」と疑いながら聴いたり、色々な角度から聴きました。
聴くたびに発見があり、好きな曲が増えていく。しかし同時に謎も増えていきました。
これはインタビューが楽しみだな。と考えていたところ、MAKER氏から連絡がきました。
「凄いのができたね。おめでとう。でも分からない所もあるからインタビューとか待ってるね。」
と伝えたら、
「インタビューなんて1件も予定ないすよ。もちろん1st出した時から。」
「なんでこの作品が騒がれないんだ?」と一瞬混乱したと同時に、
「じゃあ僕に話を聞かせてください!」と即答で願い出ていました。
そして、「ぜひ。丸裸にしてください。」と快く承諾してもらった。
せっかくだから絶賛していた呂布カルマへもインタビューに同席していただくよう頼んだ。
「この作品が埋もれてはもったいなさ過ぎる」との意見で一致し、3人でのインタビューが実現しました。
インタビューをしたのは2017年の3月末ですが、
今回、呂布カルマの最新5thアルバム「SUPERSALT」にMAKERも参加するということで、改めて公開することにしました。ぜひアルバムの参考にご覧ください。
それでは、郡上生まれ郡上育ちのラッパーMAKERが生み出した傑作「さそり座ストリップ」を丸裸にしてみましょう。
? ではインタビュー自体初めてということで、まずは自己紹介も含めて少年時代から。
- どういう少年時代でした?できれば生まれ育ちから。
MAKER(以下M) 1988年に郡上で生まれて郡上で育ちました。両親も郡上で、俺は3人兄弟の末っ子なんすけど、兄貴が結構、歳離れてて。長男は12コ上で、次男は8コ上。もう俺ほぼ一人っ子みたいな。
俺が中学の頃には兄貴はもう家にいなくて。だから自分も一人っ子な感覚だし、兄貴も親みたいな感じで何か言ってくる。
- じゃあもう一人っ子みたいに自由に育った感じです?
M いや、あんまり自由じゃなかったですね。器械体操やってて。学校の外の体操クラブで。親父が元々国体に出ていたようなスポーツ選手で、体操クラブの先生やってたから、もう自然にそこへ。
俺も小さい頃からそのクラブ(↑)に出入りしてたし。
呂布カルマ(以下 呂) 「クラブ」の発音が(笑) じゃあバク宙とか余裕なの?
M 昔はできました。今はもうできないす。背伸びちゃって。
- 体操はいつまで続けたんですか?
M 高校退学させられるまで、もうガチガチにやってましたね。高校も特待生で入ったんで。だもんでずっと体操漬けでしたね。
- 退学?その挫折で音楽の道へ?ワルい方へドロップアウトしてラッパーへ!みたいな。あ、でも退学させられてる時点で元からヤンチャだったのか。
M 元からってわけじゃないですけど・・・
呂 バク宙した時にポケットからタバコがバーッてなったり
M いやいやいや(笑)
やっぱり体育会系だし、田舎だし、イケてるやつは何かしらヤンチャでしたね。
俺の場合は「暴力事件」です。問題起こす時は大体。謹慎、停学、退学、3つとも。
んで、まあ地元に帰るんすよ。謹慎とかになると。
瑞浪市の寮がある高校に寮住みで通ってたんですけど、停学中とかは郡上に帰省するんで。
そんで地元に帰ったらM.O.S.A.Dが流行ってて、周りとか先輩とかもみんな聴いてて。
で、先輩が「おい、俺らラップやろうぜ」みたいに言い出して。俺もその気になって。
でも、いざ退学ってなった時には、もうその先輩も別にHIP HOPやらない感じでした。
それでも俺は体操からHIP HOPへフェードイン、フェードアウトみたいになっていきましたね。
呂 体操への未練は全くなかったの?
M 全くないですね。高校入った時点からずっともう補欠だったんで。特待生なのに。
この道には向いてないんだなって思ってて。ただカラオケだけはどこ行っても1番でしたけど(笑)
ホントだーれにも!負けなかったすね(笑)
- じゃあ体操やめてから、思春期というか青春が始まったんですかね。
M そうすね。抑えられてたんで、ずーっと。ずーっと圧縮されてたものがバーンバーンって弾けて。
キーワード:
Jazz,
Latin